最近、いろいろな分野のイノベーションによって社会を変える動きが見られます。そこで、今回の産学官交流会は、静岡理工科大学にご協力いただき、“音”を共通テーマにした講演を開催いたします。ぜひこの機会に大学関係者・講演者とご交流いただき、今後の事業活動にお役立ていただきますようご案内申し上げます。
静岡理工科大学
講演1 『 音楽の心を科学する 』
静岡理工科大学 総合情報学部 人間情報デザイン学科 講師 松永理恵氏
ピアノでも琴でもどんな楽器でも構いません。楽器を使って音の系列を鳴らすとしてみましょう。そうして出来上がる音列は無数にありますが,その全ての音列が,私達にとって,“音楽的”な音列として聞こえるわけではありません。ある音列は“音楽らしく”感じられ,ある音列は“単なる音の羅列”としてしか感じられません。この違いは,言うまでも無く,私達の脳(心)が決めているわけですが,この違いを決めている脳(心)のしくみとはどのようなものでしょうか。 今回,(1)人間はどのようにして“音楽らしさ”を決めているのか,(2)音楽的な専門家と素人では音楽認知に本質的な違いはあるのか,(3)文化が違えば聞き手の音楽認知も異なってくるのか,という疑問を中心に,心理学研究がどのようにして音楽の解明に迫っているのかについてご紹介します。
図1:
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講演2 『 新しい音コミュニケーションに向けて 〜超多チャンネル信号処理〜 』
静岡理工科大学 理工学部 電気電子工学科 講師 武岡成人 氏
近年の半導体工学の発展により研究レベルでは「超多チャンネル」と呼ばれるような極めてたくさんの制御点(数百〜千チャンネル程度)の信号処理が可能になってきました。そこで今回は新しい音場再生法へ向けた取り組みの一つとして,パラメトリックスピーカと呼ばれるシステムについて紹介します。 パラメトリックスピーカは,変調した超音波を空気中に出力し,その空気伝搬過程における非線形性により空気中で可聴音に復調するもので,超音波の鋭い指向性を保ちつつ可聴音を再生することができ,超指向性スピーカとも呼ばれています。パラメトリックスピーカにアレイ信号処理を導入し,鋭い直進性は保持しつつ任意の方向かつ複数の超音波ビームを出力可能にした本システムは,自由な方向へ出力可能となることにより画像処理と組み合わせたディジタルサイネージなど多様な用途への実用が期待されています。