20世紀の科学技術はエレクトロニクスの開花と隆盛によって発展し、人類に飛躍的な繁栄をもたらしたといっても過言ではない。21世紀になって、地球温暖化やエネルギー問題など、地球的規模で解決しなければならない課題があらわとなっている。ホトニクスとそれに基づく光の応用は、21世紀の課題に応えるための重要な科学技術の一つである。本講演では、光の応用について概観し、その可能性について述べてみたい。
「浜松ホト二クス」という企業名にもなっているホトニクスとは、光に関する科学技術である。その応用は、光ファイバ通信や光ストレージなど多岐にわたっている。光ファイバ通信が実用化されたのは1980年代初頭であり、四半世紀が経過している。
現在では、家庭の電話やパソコンを光ファイバでつなぐFTTH (Fiber To The Home) が急速に広まっている。光ストレージは、CDやDVDなどの光技術を用いた記録であり、記録媒体が安価にできるため広く普及している。照明やディスプレイも光の技術であり、光源としてLEDの応用が盛んになっている。また、太陽光発電は、二酸化炭素の発生しないエネルギー源として急速に利用が拡大している。シリコンを用いた太陽光発電は、光通信における受信機と原理は同じで、半導体が光を電気に変えている。
このように、光の応用は広範囲にわたっているが、特に光を用いた計測技術、光センシング技術に注目してみたい。赤外線センサを用いた防犯アラームなど、光センサはいろいろなところで活躍している。光センシングの特徴や可能性について言及する。
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