第89回(平成26年度第4回)産学官交流のご案内を致します。 ヒトが生きる上での糧である「食」。農業従事者の減少や「食の安心・安全」など、日本の農業を取り巻く環境は大丈夫だろうか?今回の産学官交流会は、静岡理工科大学に協力いただき、“食に貢献する技術”を共通テーマにした講演を開催いたします。ぜひこの機会に大学関係者・講演者とご交流いただき、今後の事業活動にお役立ていただきますようご案内申し上げます。
静岡理工科大学
「食に貢献する技術」
講演1 『キチン・キトサンの有効利用と微生物研究』
静岡理工科大学 理工学部 物質生命科学科 准教授 齋藤 明広氏
食品廃棄物であるカニ殻にはキチンが含まれています。キチンはキトサンに加工できます。カニ殻の有効利用方法の模索に端を発したキチン・キトサンの研究は長年行われてきました。 キチンやキトサンの加水分解物であるN-アセチルグルコサミンやグルコサミンは,甘味料やサプリメントとして市販されています。キチンオリゴ糖は免疫賦活化作用をもつほか,植物免疫を活性化する(防御応答反応を誘導する)作用があることで注目されている化合物です。キチン自体は外科用手術の縫合糸の原料として,また,農耕地の土壌改良材としても用いられています。キトサンは排水汚泥の凝集剤として用いられていますし,被覆肥料の被覆剤としての利用が研究されています。
今回、キチン・キトサンの有効利用を巡る演者の微生物研究(以下1〜5)をダイジェストで紹介します。
講演2『青いトマトの商品化の可能性について』
静岡理工科大学 理工学部 物質生命科学科 教授 山庄司 志朗 氏
青いトマトには、トマチンという毒性物質が含まれています。この物質の機能は不明ですが、完熟して種子ができるまで昆虫や鳥に食べられないようにするためと考えられています。嘔吐、下痢、腹痛といった食中毒の症状が知られていますが、幸いこの毒物で死亡者がでるような食中毒事件はありません。最近、青いトマトを利用した料理や商品が知られるようになりましたが、どの段階で収穫したトマトが安全なのかという科学的根拠が見受けられません。より安全に青いトマトを楽しめる方法について検討しましたので、その事例を紹介します。また、海外で発表された新たな機能性についても紹介します。青いトマトの食感を楽しむだけでなく、健康に寄与する食べ方について提案したいと思います。