今回は、東海大学に協力いただき、第90回の記念講演会・交流会を開催いたします。記念イベントとして、ポスターセッションも併催しますので、多数の方のご来場をお待ちしております。ぜひこの機会に大学関係者・講演者とご交流いただき、今後の事業活動にお役立ていただきますようご案内申し上げます。
東海大学
「身近な海・駿河湾について知る!」
講演1 『駿河湾のクジラたち』
東海大学 海洋学部 海洋生物学科 准教授 大泉 宏氏
Keywords:海洋生態学・海生哺乳類学
我々にとって最も身近な海である駿河湾は、最深部で約2500mもある日本一深い湾である。 駿河湾では多くの魚種が漁獲され、深海性の生物が生息することでも有名である。しかし、 駿河湾における鯨類の存在については分かっていないことが多い。 日本近海には約40種の鯨類が生息している。一般の人には鯨類というのはかなり珍しい存在と思われているかもしれないが、これらの鯨類の多くは比較的岸に近い所でも回遊している。 駿河湾ではストランディングデータベース(科博)に記録されたものだけで1935年以降に計20種64件の鯨類の座礁や偶発的な目撃がある。しかし、駿河湾における鯨類の分布や回遊について体系的に調べた例はなく、記録のある種が定住しているのか、あるいは定期的に回遊しているのか、それとも記録は偶発的な迷入に過ぎなかったのか定かではない。
東海大学海洋学部は、2014年春から駿河湾全体における定期的な鯨類目視調査を開始し、株式会社エスパルスドリームフェリーの協力により定期航路上の調査も夏から開始した。
以前から予備的に行われてきた調査結果ではアカボウクジラやスジイルカ、ハナゴンドウなどが発見されており、特にアカボウクジラは定住している可能性も考えられる。本格調査は開始されたばかりであるが、本講演ではこれまでに得られているデータから駿河湾のクジラたちについて紹介し、駿河湾の新しい魅力の可能性について探っていきたい。
【略歴】
講演2『地球の内部を探る! 〜駿河湾の海底で、今、何が起こっているか〜』
東海大学 海洋学部 海洋地球科学科 准教授 馬塲 久紀 氏
Keywords:固体地球物理学・地震学・物理探査学・制御振動地震学等
1970年から言われ続けている東海地震,静岡に住む我々は,いつまでこの地震におびえ続けて暮らしていかないといけないのでしょうか?日本は世界有数の地震大国で,正直なところ北海道から沖縄まで地震の発生しない場所は存在しない。たまたま、地震の繰り返し周期がそろそろと言われているのが東海地震なのです。残念ながら地震予知はできないとされてはいますが、「万一地震予知ができるとするならば東海地震だけ」とも言えます。そして東海地震は地球の営みが止まらない限り、必ず発生しなければならない自然現象でもあります。私も静岡に住む1人として、何とか地震の様子を把握するために駿河湾に独自に地震観測点を設け、観測を継続しています。 駿河湾では、2009年にM6.4の地震で駿府城のお堀が壊れるなどの被害が、また2011年にもM6.2の地震が発生しています。この発表では、静岡に住む皆さんの目前にある駿河湾の海底で何が起こっているのかについて紹介し、自然災害に対する警戒をいつも持ち続けていただきたいと考えています。
【略歴】 地球上部地殻における構造探査・地震活動調査の研究を専門とし、陸域・海域を問わず各種調査を手掛けている。 所属学会:物理探査学会代議員、地震学会、日本火山学会、海洋理工学会。