医療・福祉現場が抱える課題は多種多様です。日本が誇る「ものづくり技術」を活かした開発・実用化を推進することにより、我が国の医療・福祉産業の活性化や医療・福祉の向上につながります。今回の産学官交流会は、静岡理工科大学に協力いただき、“医療・福祉に貢献する技術”を共通テーマにした講演を開催いたします。ぜひこの機会に大学関係者・講演者とご交流いただき、今後の事業活動にお役立ていただきますようご案内申し上げます。
静岡理工科大学
「医療・福祉に貢献する技術」
講演1 『3Dプリンタを応用した医工学連携例の紹介』
静岡理工科大学・理工学部 機械工学科 教授 土屋高志氏
図1 (手指関節部の再生手術の例)
図2 (3Dプリンタで製作した 大腿骨の例)
形成外科の分野では手指再建術等でマイクロサージャリ―技術が応用されています。マイクロサージャリ―とは、文字通りマイクロ(微小)+サージャリー(外科)、 つまり微小外科のことで、通常の手術とは異なり、顕微鏡を覗きながら特殊な器具 を用いて行う手術のことで、この技術習得は非常に難しいものになっています。
この分野は、現在も様々な挑戦が行われ、医学分野のみではなく工学分野の応用が非常に期待されている分野でもあります。
今回、本学の機械工学科が医学分野と共同で行っている事例の一つとして3Dプリンタを使用してCTスキャンデータから3Dテンプレートを製作し、手術計画の策定から手術時のナビゲーションとしてテンプレートを使用した実例について紹介を行います。
<略歴> 横浜国立大学大学院工学研究科博士課程修了。専門は内燃機関工学、自動車工学。いすゞ自動車、豊田自動織機を経て、2004年、本学に就任。2009年、自動車技術会フェロー。
講演2 『医療・福祉支援のための先進生体計測融合型ヘルスケア・ネットワークシステムとその応用事例』
静岡理工科大学・理工学部 電気電子工学科 講師 本井幸介氏
高齢化速度と長寿化という点で世界のトップを走っているわが国は、医療費削減や健康で質の高い生活(QOL向上)を営む期間の延伸をめざし、医療・介護施設におけるサービスの充実はもちろんのこと、さらには在宅における療養や介護・看護、日常的な健康管理・疾病予防などを行うホームケアも推進されています。 今回、次世代の医療・福祉、健康管理・予防という観点から非(無)侵襲生体計測技術の世界動向を簡単に紹介しながら、我々が推進している早期発見・長期観察を目指した、ユーザーに負担のかからない「いつでもどこでもヘルスケアチェック」、すなわち「ユビキタス・ヘルスケア」計測技術について、その方法論の概要と具体的事例を紹介します。
<略歴> 金沢大学大学院自然科学研究科博士課程修了。専門は生体医工学、健康支援工学。弘前大学大学院助教を経て、2015年、本学に就任。