今回は、静岡大学に協力いただき、第105回の講演会・交流会を開催いたします。多数の方のご来場をお待ちしております。ぜひこの機会に大学関係者・講演者とご交流いただき、今後の事業活動等にお役立ていただきますようご案内申し上げます。
静岡大学
「最先端技術 宇宙エレベーターとカーボンナノチューブ」
講演1 『宇宙エレベーター:その原理と研究開発の現状について 』
静岡大学 工学部 機械工学科 教授 山極芳樹 氏
Keywords:宇宙輸送、宇宙エレベーター
人類の宇宙への進出は、現在地球上で深刻化しつつあるエネルギー問題を含めた様々な問題の解決につながるとともに、資源、新材料、医療、観光など多くの分野での新たなビジネスチャンスをもたらしますが、そのために重要なのは、宇宙へのアクセス性の向上と宇宙活動の低コスト化です。宇宙エレベーターは、それを可能にする新しい宇宙輸送システムの代表格で、究極の宇宙輸送システムといえます。宇宙エレベーターというと、かつてはSFの中の空想の産物でしたが、最近のカーボンナノチューブをはじめとする新素材の発明により、実現の可能性がでてきて、研究開発が活発になってきました。 本講演では、宇宙エレベーターとはどういうものか、その背景や研究開発の現状,我々のグループを含めた技術実証の取り組み等について解説します。
講演2 『革新材料カーボンナノチューブの応用研究』
静岡大学 工学部 電子物質科学科 准教授 井上翼 氏
代表的な炭素の結晶には、グラファイトとダイヤモンドがあります。炭素結晶は結合が強いため、引っ張った時の強度や弾性率は全物質の中で最も高い値を示します。カーボン・ナノチューブ(CNT)は、そのような炭素結晶のナノサイズの筒状物質です。力学特性のみならず、電気や熱を良く通す素材であるため、21世紀のスーパー物質としていろいろな応用が期待されています。私たちは、CNTを独自の方法で合成し、樹脂と複合化して利用する方法を研究開発しています。 講演では、CNTを高弾性樹脂と複合化した、軽量超高強度高弾性材料開発の状況を紹介します。最近、炭素繊維を含む強化プラスチックが飛行機や自動車のボディに使われるようになりましたが、CNT樹脂複合材料はさらにそれらを軽量化する革新材料となる可能性を秘めています。また、CNTを低弾性樹脂と複合化して開発した、モーションセンサー技術も紹介いたします。体の関節部に装着することで、これまで不可能であった複雑な体の動きがリアルタイムでセンシング可能となりました。バーチャルリアリティ(VR)技術と組み合わせた新しい応用技術を提案しています。