今回は、(独)国立高等専門学校機構・沼津工業高等専門学校にご協力いただき、研究者に下記のような内容で講演をしていただきます。「日本の食料自給率の質的・量的改善」をテーマとし講演者と交流を持っていただき、今後の活動に活かしてもらえばと考えます。多数の方の来場をお待ちしております。
沼津工業高等専門学校
講演1. 『 魚類の物質代謝と栄養学 』 沼津工業高等専門学校・物質工学科 教授 後藤孝信 氏
Keywords: : 魚類、食品、栄養学
日本の食料自給率は先進国の中で最も低く、40%前後を推移している。その一方で、人口増加、海洋食品の消費増加や環境破壊により、世界の魚類資源は減少の一途をたどっている。 このような国内外の食糧事情を解決するためには、食糧増産技術の開発が不可欠であるが、魚類資源の増産、とりわけ養殖業に関しては、低価格で栄養価の高い魚類飼料の開発が重要である。 過去に我々は、タウリンがブリやマダイの海産魚類に対して成長促進効果を示すことを見出すとともに、近年では牛胆汁沫がニジマスの大豆タンパク質の利用率を向上させることを報告してきた。今後は、これらの化合物にとどまらず、新規物質を用いた魚類飼料を開発したいと考えています。
各種魚類飼料がニジマス腸管組織に与える影響
講演2. 『農業生産技術に工学的センスを 〜トマトの茎液流計測センサの開発〜 』 沼津工業高等専門学校・電子制御工学科 教授 長澤正氏 氏
本来の研究分野は通信工学で、農業や植物とはまったく無縁でした。主たる研究は、「流星バースト通信」で、流星が大気に突入する際に発生する電離気体による電波の反射を利用した通信方法の研究です。ふとしたきっかけから、このセンサにかかわることになり興味深く研究を進めています。研究を進めていくうちに、最近急速に発達した電子技術がもっと農業に取り入れられてもよいのではないかと思うようになりました。食料自給率の向上は国家的な課題です。今後、農業生産技術に工学的なセンスが必要とされてくると思われます。 このセンサを開発するに至った経緯は高糖度トマトを生産している農家の方の要求からでした。糖度は水分ストレスを与えることにより増すことができますが、どのタイミングでどの程度水を与えたらよいかは経験によるところが多いそうです。照度や気温といった環境データのほかに直接トマトの吸水量がわかると大いに助かるということでした。しかし、現在市販されている茎の液の流量を測定するセンサは、研究室用のもので高価なうえ取扱いも難しく周囲の温度に影響されやすいなど、問題点が多くあります。 ここでは、本研究で試作された、小型で安価な植物の茎の流量を計測するセンサの有効性を紹介します。また、専門研究である「流星バースト通信」についても紹介します。
流星
1ヶ月の茎液流量変化